羽毛布団の選び方~ダウンの産地から選ぶ~

寒い冬に大活躍の羽毛布団ですが、この羽毛布団の原料となるダウンにはたくさんの産地があることをご存知でしょうか?このダウンの産地の違いによって軽さや暖かさ、ふくらみといった品質に差があり、価格にも大きな差が生じます。ご自身に最適な羽毛布団を選ぶために、ダウンの産地別の特徴を知り、ダウンの産地から選んでみてはいかがでしょうか。

羽毛布団の原料となるダウンの産地と世界最高峰のダウンについて

ダウンの産地には、アイスランド、ポーランド、ハンガリー、ドイツ、フランス等のヨーロッパ地域や、中国、ベトナム、台湾等のアジア地域、そしてアメリカ、カナダの北米地域と、実にたくさんの産地があります。これらの国々は、「ダウンベルト」と呼ばれる北緯50度前後に位置する羽毛の産地であり、良質なダウンが採取できます。その中でも世界最高峰・最高級品と言われるのは、北極圏に位置するアイスランド産のアイダーダック(和名:ホンケワタガモ)のダウンを入れた、アイダーダウン羽毛布団です。

一般的なダウンの採取は、農場で飼育されるグースやダックから直接行いますが、アイダーダウンの場合はアイスランドにおいて特別保護対象とされる野生のアイダーダックから採取します。極寒で厳しい環境を生きる野生のアイダーダックからは保温性の高い良質なダウンが取れます。しかし、採取は許可を受けた一部の人にしかできません。また、産卵から子育ての時期に巣に敷き詰められたダウンを手作業で採取するのが唯一の採取方法です。故に希少性も高く、その価格は数十万~数百万円するものもあります。

ハンガリー・ポーランド産のダウンについて

ハンガリーは北海道とほぼ同じ緯度にあり、夏と冬が非常に長く気温差の激しい大陸性気候です。豊かな自然の中で飼育されたグースやダックからは、軽さや保温性の高い大きなダウンボールが採取でき、耐久性の良さも特徴です。ハンガリーとポーランドは、国を挙げて質の良い羽毛の生産に取り組んでおり、昔から高品質な羽毛を生む国として知られています。ハンガリーの生産量はヨーロッパ最大規模です。ポーランドは、ハンガリーと同様に、夏と冬の気温差が激しく、冬は氷点下10~20℃の厳しい寒さになります。そんな気温差のある環境の中でも体温を保ちながら過ごすマザーグースからは、弾力性や保温性、耐久性に優れたダウンが採取できます。

また、ダウンの品質を左右するのは産地だけに限らず、飼育期間の長さも重要とされています。特にポーランド産のホワイトマザーグースはホワイトコウダと呼ばれ、飼育期間も長く、高品質なダウンとして取引されています。

ロシア・中国産のダウンについて

ロシアは春と秋が短いのに対し、冬の期間が長くとても厳しい寒さ国として知られています。そんな気候の中で飼育されたグースからは、かさ高で保温性や吸湿発散性に優れた良質なダウンが採取できます。そんなロシア産またはシベリア産のダウンは、ポーランドやハンガリー産のダウンにも引けを取らないと言われています。中国は広大な国土を有していることから複数の産地がありますが、シベリアに面する地域では寒波の影響により氷点下30℃に達することも頻繁にあります。そのためグース達は自然と体温調節機能が身につき、良質なダウンが採取できるようになるのです。

中国産というとお手頃な価格で購入できるものが多いことから、品質の高さはあまり注目されませんが、この地域で採取されるダウンは、かさ高で保温性に優れた最高級品質のダウンです。

産地=品質ではないことを知っておく

例えば、ポーランド産の羽毛にもかさ髙の良いものからそうでないものまで様々です。それは鳥の飼育期間による違いや羽毛の採取の仕方、洗い方など様々な要因があります。そのため買い物をする際にポーランド産だからとかハンガリー産だから優れていると考えることは必ずしも正解ではありません。中国産と聞くと敬遠しがちですが、中国産にも優れた羽毛はあります。商品を選ぶ際には産地にこだわるだけではなく専門店に足を運んで実際に手に取りながら商品のふくらみをご自分で確かめて買う事が最も重要です。

快適な羽毛布団で質の良い睡眠を

毎日心地よく眠るためにも、寝具にはこだわりたいものです。新しい羽毛布団の購入や、羽毛布団のリフォーム・打ち直しの際には、品質の良いダウンを追加することで、新品同様、またはそれ以上の暖かさや快適さを蘇らせることができるかもしれません。